皆さん、セキュアベースという言葉を知っていますか?
この言葉を知っているよという方はすばらしいです。
セキュアベースとは子供が成長していくに上で親の役割として非常に大切なことのひとつなんです。
今回はこのセキュアベースについてお話していこうと思います!
セキュアベースとは?
セキュアベースと聞くと、なんとなく難しい言葉?なんて思いますが、言葉の意味自体は非常に簡単で「安全基地」という意味です。
親は子供が自立できるように育てますね。でも、自立ってどういう意味でしょう。
将来、自分の力だけで生活することを自立といいますね。これは経済的な自立です。親の最終的に目指すところのひとつがこの経済的な自立でしょう。
でも、自立というのは経済的なことだけではありません。
経済的自立の他にもうひとつ大切なのが心の自立です。心が自立していなければ子供は自分ひとりでは何も出来ないし、自分自身を成長させようという気持ちにもなりません。
ですから、心を自立させることが人間として生きていくためにとても重要なんです。また、心の自立がちゃんと出来ていないと経済的な自立もできません。
例えば、仕事が続かないのは心の自立ができていない証拠です。
心の自立ができていなければ、経済的な自立も程遠いものになってしまうんです。
では、その子供自身が心の自立をするためにはどうしたらいいのですか?ということなんですが、そこで一番大切なことがセキュアベースなんです。
失敗や苦悩を受け入れてくれる安全基地
大人も子供も日々生活をしていると、嫌なことがあったり、失敗したりと、うまくいくことばかりではないですよね。
人生の全てがうまくいく人なんて絶対にいないです。
さて、ここで少し考えてみて下さい。
もし、失敗をして落ち込んでるときに、家族にも冷たく言われたらあなたはどう感じますか?例えば夫婦のこんな会話。
妻 「今日、パートで失敗しちゃった・・・」
夫 「ふーん。そうなんだ。今度から気をつけなよ。」
妻 「・・・・・。」
話を聞いてほしくて言ってるのに、夫からもなぜか注意されるという・・・。これじゃぁ、余計に傷つくだけですよね。
これがもし、
妻 「今日パートで失敗しちゃった・・・」
夫 「そっか・・・。失敗は誰にでもあるからね。そうだ、今日は俺が夜ごはん作るよ!」
なんて言ってもらえたら、「ありがとう!明日からまたがんばるよ」と思えますよね。
これは子供だって同じです。
失敗したことは自分が一番よく分かってるのに、親に言ってさらに怒られたら子供は深く傷つきます。
子供は親に失敗を叱ってほしいのではなく、受け入れてほしいんです。
失敗だけではありません。
なんとなく子供が不安に思ってるときや、悩みがあって相談してきたとき「忙しいからまた今度ね」なんて言われたら子供は心のもやもやを消すことができませんね。
ほんの少しの時間話を聞いてあげて、共感してもらえて、抱きしめてあげれば、子供の心は大分軽くなるはずです。
それを分かっていない親の多いこと。成功は褒めるけど失敗は許さない。
家族ならちゃんと家族の心の拠りどころにならないといけないんです。
子供はもちろん大人にだってそうです。家族の気持ちがひとつだから、困難があっても頑張っていこうと思えるのです。
失敗しても自分には悲しみや苦しみを受け入れてくれる家族がいる。
そう思えることで、新しいことに挑戦したり、失敗してもまた立ち向かっていく力が得られるのです。それが、セキュアベースの力です。
赤ちゃんだってセキュアベースを持っている
赤ちゃんがハイハイをする頃になると、親から離れて気になるものに夢中になって遊ぶことがあります。
そして、うまくいかないことがあると大泣きしてママのところに高速ハイハイで寄ってきますよね(笑)
ママが赤ちゃんを抱き上げてトントンすると泣き止んで落ち着いてきます。すると、しばらくしてまたママから離れて遊び出します。
これはママがちゃんと赤ちゃんのセキュアベースになっているから。
不安になったり失敗してしまったら安全基地に戻り、心が満たされたらまた外の世界に飛び出していく。
安全基地があるから安心して外に行けます。
赤ちゃんはこの繰り返しで心が成長していきます。
もし、赤ちゃんにセキュアベースがなかったら・・・心の拠りどころがなく、この世界は不安のかたまりでその赤ちゃんには表情がなくなってしまうのではないでしょうか。
想像するととても悲しいです。
赤ちゃんは大人がいないと生きていけない存在ですから、大なり小なり誰でもセキュアベースを持っていると言えます。
でも、赤ちゃんがある程度成長して幼児になってくると、セキュアベースがない子も出てきます。虐待されている子もその一例ですね。
セキュアベースがない?
学童保育指導員だった私の経験談です。
ある1年生の男の子には生まれて半年の妹がいました。
お母さんは赤ちゃんを誰が見てもかわいがっているように見えました。
でも、お兄ちゃんには当たりが強くいつも無表情。
もちろん、私が見てるのはお母さんがお迎えに来る一時の時間だけですから、家ではどのように接しているのかは分かりませんが・・・大体想像できます。
彼は根はいい子だと私は感じています。でも、陰湿なことをするんですね。
先生から見えないところで友達に悪口を言うとか、暴力を振るうなどです。
彼は入学したころは明るく笑顔が沢山見られましたが2年生になると、いい表情を見ることは減っていきました。反抗的な言葉も多く口にするようになりました。
ただ単に反抗期だからというような反抗の仕方ではないように感じました。ちょっと説明が難しいのですが、他の2年生の反抗期の感じとは違うんですよね。
なんて言うか、うるせー!とかそういう反抗じゃなく、静かにじっと睨まれたり・・・彼にはまるで世界が全部敵に思えているような感じ。
あるとき彼の口から忘れられない言葉を聞きます。
話の流れでなにげなく「○○ちゃん(彼の妹)、かわいいよね」と言ったときのこと。
ぼそっと、それでも確かな口調で、
「○○なんて、いなくなればいい」と。
・・・・・いま、なんて?( ゚д゚)ポカーン
うーん。これは、家庭に問題ありですね。
彼は自己肯定感が極端に低いです。口癖が「俺なんか。」です。
彼のお母さんは彼を大切に思っていないわけじゃない。でも、彼には全然愛が伝わってないんですよね。
妹をかわいがるのはいいけど、同じくらいお兄ちゃんも可愛がってあげなきゃ。兄妹平等に接していたら絶対にこんなことにはなりません。
彼にはセキュアベースがあったのでしょうか。彼は今年6年生になりますが、どういう子供になっているのか気がかりです。
一番信頼している親が自分の安全基地になれないのなら、誰を頼って生きていけばいいのでしょうか。
セキュアベースが大切なわけ
セキュアベースから出たり入ったりを繰り返して子供の心は大きく、そして強くなっていきます。
自分の弱さを受け入れてくれる場所があるというのは、本当に心強いことです。
芯が強ければ、この先の困難もきっと乗り越えていけるようになります。
反対に見かけだけ強くなっても芯が弱ければ、すぐに諦める、挫折する、困難から逃げようとする、そんな人間になります。
子供が助けを求めてきたときに親が突き放すことで子供を強くできると思っている人が、残念ですがまだいます。
それは、逆に子供の心を弱くしていることに早く気が付いてほしいです!
心の弱い子供が成長し、大人になったら強くなれるかと言えば、大変な努力が必要だと思います。
自分の子供にはつらいとき、大変なとき、苦しいとき、そこから逃げ出す大人ではなく、そこに立ち向かって乗り越えられる大人になってほしいと思いませんか?
そのためには子供が失敗したとき、心が不安でいっぱいのとき、優しい大きな気持ちで受け入れてあげられる、そんなセキュアベースに親はなるべきなんです。
親が子供のセキュアベースになれたら、それだけで子供の人生は豊かになるのではないでしょうか。
お役に立てたら幸いです。ではまた♪
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